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傷は抱えたままでいい 07

2015.11.28 21:22|傷は抱えたままでいい
06 ←前回

「えーと、霧子さ……」
「リコって呼んで」
名前を呼んだ私に、彼女はすぐにそう返した。
まるで私の言葉を遮ろうとするかのような威圧感に、一瞬言葉が詰まってしまう。

そんな気持ちを察したのか、鈴森霧子――――リコは慌てて言葉を付け加えた。
「みんな……そう呼んでるから」
「う、うん。ごめん……」
なぜ私が謝るのか、そんなことを考える余裕もない。

決して和やかとは言えない雰囲気。
リコがなんのために私を体育館の裏に連れてきたのか、この沈黙では分からないままだ。
いや、思い当たる節はもう一つしかない。でも私から、それを切り出すことができない。

結局彼女が再び口を開くまで、私は黙っているしかなかった。


「千紗季さんさ……」
一度深呼吸をし、決意を固めたかのようにより強く私を見据えながら、リコは聞いてきた。
「……見たんだよね?」
「…………」

何を、とは言えなかった。
ましてや、しらを切ることなんてできるわけがない。
疑問形なのにほとんど断定するような強い語気を前に、私は素直にうなずくことしかできなかった。

「あ、あのね霧――――」
「リコ」
再び遮られる私の言葉。
言い訳も謝罪も聞きたくないというのか。
それともそんなに名前で呼ばれるのが嫌なのか。

とにかく彼女から感じたのは、ただ何も受け入れたくないという壁だけだった。


なんだか怒りがわいてくる。

次回→ 08

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傷は抱えたままでいい 06

2015.11.26 22:57|傷は抱えたままでいい
05 ←前回

「!? ひあ、な、……は、はい?」
突然のことに、私の声は完全に裏返っていた。
さっきまで頭の中を駆け巡っていたクラスメイト、その張本人の鈴森霧子が私に声を掛けてきたのだ。

クラスメイトである以上会話をすることはあり得ることであるが、彼女から話しかけられることは今までなかった。
それが今このタイミングで私に用がある……思い当たる節は一つしかない。


しかし、霧子は私に声を掛けたきり黙ってしまった。
周りを見回して、気まずそうな表情を浮かべる。

「……ここじゃ駄目ね。ついてきて」
見るとまだ教室に残っていた他の生徒が、一斉に私たちの方を見ていた。
私の声は裏返っただけじゃなく、思った以上の大きさだったらしい。

「…………ごめん」
霧子の姿を追いかけながら謝るが、彼女は何も言わずに進んでいく。
黒い髪を靡かせて毅然とした様子で歩く霧子とは対照的に、私の心は不安だらけだった。


向かった先は体育館の裏だった。
人が通ることは滅多になく、物語の中ではよく秘密の会話をするのに適した場所として挙げられる。
それは私の学校も例外ではなかった。

日が沈みかけている。
補習にたっぷりと時間を使ったため、もう部活の声も聞こえず辺りに人の気配はない。
あの時と同じ、薄暗い夕暮れ時だ。


霧子は立ち止まったきり、私の顔をじっと見て黙っていた。
誘ったのは彼女の方なのに、まるで私が話すのを待っているよう。

その切れ長の目は、奥に見える深い黒の瞳は、まさしくあの時私を見ていたものだ。
恐れるでも蔑むでもない、穏やかでありながらまっすぐに突き刺すような視線から、私は逃れることができない。

先に沈黙に耐えられなくなったのは私の方だった。

次回→ 07

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Sound of falling rain

2015.11.26 20:27|おすすめ音楽


アーティスト:Ryann


こんなに優しい楽曲があるなんて今まで知りませんでした。
相変わらずアーティストであるRyann氏がどういった人物なのかわかりませんが(スイスのジュネーブ出身?)、楽曲が存在している以上実在している方なので、変な言い方ですがそういった神秘さも惹かれるものがありますね。

タイトルの通り、雨の音がとても雰囲気出てます。
ピアノの旋律がとにかく美しいですね。ぜひ一度聞いてみてください。

Tangled Strings

2015.11.25 20:53|おすすめ音楽


アーティスト:Two Ways


こちらの楽曲は同じくyoutubeを巡っていて見つけました。
すごく爽やかで壮大で、どこか物悲しい、まさに自分好みの一曲です。

ただアーティストに関しては詳細がはっきりしませんでした。
商業ではなく、あくまで個人製作ということでいいのでしょうか……
世に出ていないだけで、探せばこんな素敵な楽曲に出会える。
ネットサーフィンの醍醐味ですね。

Pieces

2015.11.24 20:24|おすすめ音楽


アーティスト:Red


youtubeを巡っていたら見つけました。
そしてイントロからすでに惹かれてしまったので、紹介します。

Redはアメリカのナッシュビル出身のロックバンドのこと。
こちらの楽曲は雰囲気がすごく切ないのですが、実は「自殺」をテーマに扱ったものだと知り、さらに色々感じるところがありました。


近年、命の価値があまりにも軽く見られているような出来事がよく目につきます。
生きていく中では無力感だったり失望だったり、なんのためにこの命があるのか分からなくなることはよくあると思います。

でも「なにものでもない」ということは「なににでもなれる」ということ。
月並みな言葉ですが、命ある限りは前でも後でも横でも下でもいいから歩いていきたい。
たとえその過程で命尽きたとしても、それが歩いた結果であれば悔いはありません。

ただそこに座して、朽ちていくだけの人生はまっぴらごめんです。
少しでも光が見えたなら、そこに向かって歩きましょう。
何も見えないのなら逆にチャンスです。がむしゃらに歩いていいのですから。

そうは言っても自分の意志で歩くのはかなりしんどいですけどね。
ゆっくりするのもいいかもしれませんね。
大事なのは「選択」することなのですから。


何が言いたいか分からなくなる前にこの辺で。

傷は抱えたままでいい 05

2015.11.21 09:00|傷は抱えたままでいい
04 ←前回

――――2週間後。


試験に撃沈した私は、今日から始まる補習に憂鬱な気持ちでいた。

「じゃあ、部長には伝えとくよー」
「うー……お願い、有希」
「まったく情けないなあ」
部活へ向かう二人を恨めしそうに見送って、大人しく鞄からノートを取り出すことにした。

里穂はあれから特に何事もなかったように、元気な姿に戻っていた。
泣いたのもあの時だけ、引きずる様子もなかった。
もしかしたら私たちに見せないだけで、人知れず涙は流しているのかもしれない……でもそれをおくびにも出さない彼女の強さが私には輝いて見えた。


でもそれよりも気になって仕方ないことがあった。

その張本人は窓際の前から2番目に座っていた。
部活の時間になっても外を眺めて動こうとしないその人は、多分私と同じ補習を受けるためにそこにいる。
それなのにまるでやる気のなさそうにボーっとしているだけで、なんの危機感もなさそうに見えた。


鈴森霧子。長い黒髪とすらりと伸びた足が目をひく、はっきり言って美人に属する人間だ。
そして私の見間違いじゃなければあの時保健室で女の人とキスをしていたクラスメイト。
さらに見られたことも、それが私であったことも知っているだろう彼女。

彼女の切れ長の目が、その奥に見える瞳が、確かに私を見ていた。

ありがたいのか不気味なのか、今日にいたるまで彼女は私に対して何も言ってこなかった。
私が意識して避けていたこともあったかもしれないが、彼女からはそんな素振りすら見せてきていない。


目が合った気がしただけかもしれないとも思い始める。
あるいは霧子ではなく他の誰かだったのかも、と。

ならばあの時保健室でキスをしていたのは誰だったのだろう。
聞えてきた吐息を苦しそう、と私は表現したが、キスをしていたのならきっとあれは……


普段と違い、生徒の数がまばらな教室では、余計に霧子の姿が目につく。
頬杖をついたままやる気のなさそうな彼女の姿を見ていて、また新しい疑問が湧いてくる。

私の知る鈴森霧子は、頭の良い生徒だったはずだ。
少なくとも補習を受けるところは見たことがないし、なんというか似つかわしくない。

私はともかく里穂や有希が悠々と超えた赤点のラインを彼女が下回る、そんなことあるだろうか。
そんなことを考えているうちに、補習はあっという間に終わってしまった。


うわの空で聞いていた補習になんの成果もあるはずはなく、ただ長時間座っていた疲労感だけが残った。
ノロノロと鞄にノートを詰めていた時、急に声を掛けられた。

「ちょっといいかな、早川千紗季さん」

その声の正体は他の誰でもない、鈴森霧子だった。

次回→ 06

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生まれてきてくれてありがとう

2015.11.20 21:12|おすすめ音楽


作曲:dai
唄:葉月なの (nayuta)


最後は『ひぐらし』『うみねこ』両方でバージョンを変えて使用された楽曲から。

こちらはボーカル入りで、ゲームで使われたものでなく、独自のアルバムの中に収録されたものです。
優しさに満ちた、dai氏の真骨頂の楽曲ですね。
歌声もどこか本能に訴えるような切ない感じです。

タグ:うみねこのなく頃に ひぐらしのなく頃に

傷は抱えたままでいい 04

2015.11.19 21:23|傷は抱えたままでいい
03 ←前回

里穂とは店を出てすぐに別れた。
さすがに明日の試験は勉強しないと大変だという理由だった。

二人でいては勉強そっちのけで話し込んでしまうよ、と。
そう話す私に里穂は笑って頷いた。


お互いの姿が見えなくなるまで手を振り合ってから、私は家に向かって歩き出した。
そしてすぐに足を止めた。

一つ深呼吸をする。早くなりそうな鼓動を、ゆっくりと落ち着かせる。
(……うん、大丈夫……大丈夫)
ずっとハンカチを握りしめていた手はすでに感覚がなく、でも確かに熱がこもっていた。
すっかりよれてしまったそれを、制服のポケットに無造作に押し込む。


半分だけ嘘をついた。

勉強したいから家に帰るなんて、そんな真面目な人間じゃない。
あの空間に居続けることに、涙を流す里穂と一緒にいることに、心の奥底がザワザワし始めたから。
もしそれに耐えきれなくなったら私は、また…………


頭を振って考えを振り切る。
今のままでは明日の試験が目も当てられないことになるのは本当のことなので、おとなしく家路につくことにした。
鞄の中から鍵を取り出そうとする――――




そうして、私はその後学校へと戻る羽目になり、保健室での光景を目撃することになる。
脳裏に焼き付いて離れなかったあれは見事に勉強を手につかなくさせ、試験は散々な結果に終わったのだった。

次回→ 05

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being

2015.11.19 20:52|おすすめ音楽


アーティスト:dai


同じく『ひぐらし』より。
原作は主に問題編と解答編合わせて8つの編に分かれていますが、その中の最後『祭囃し編』でこの楽曲が初めて流れました。

ほぼ全ての答えが出そろい、あとは幸せな結末に向けて登場人物たちが動き出す。
そのキャラたちの想いが交錯し合う、とても燃える場面です。

なんだかdaiさんの楽曲ばかり紹介していますね……

タグ:ひぐらしのなく頃に

見えない何かに怯える夜

2015.11.18 20:43|おすすめ音楽


アーティスト:煉獄庭園


『ひぐらしのく頃に』で、とある決闘シーンで流れる曲です。

厳密にいえばフリーの音楽なため『ひぐらし』のためのBGMではないのですが、ファンからの人気が結構高い一曲です。
演出やこれが流れるシーンが盛り上がる部分で、まさに音楽もクライマックスといった感じですね。

『うみねこ』では様々な方がBGM提供をされていますが、『ひぐらし』の時はこういったフリーの音楽も多く使われていました。

タグ:ひぐらしのなく頃に

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